2021.10.20
廃業銭湯をしのぶ
こんにちは。ロウリュガールです。
急に涼しくなり、湯舟が恋しい季節になってきましたね!
おうちや銭湯で温浴、楽しんでいますか?
最近また銭湯が廃業する話を耳にすることが増えました。
思い返せば昨年もこの時期から春にかけて、廃業する銭湯のお別れ入浴に足を運んでいました。
今回は大阪で最近廃業した2つの銭湯について書きます。
東温泉(大阪市東住吉区) 2021年9月末廃業
脱衣場も浴室もとてもキレイ!
あと数日で廃業するなんて信じられない美しさに少し戸惑いながら髪と身体を洗いました。
浴室中央の深湯の湯舟内には踏み台が2段あり、出入りしやすいつくりになっていました。
この段差を利用すると好きな深さでお湯に浸かることもできます。
浴槽内の段差は1段なのがほとんどですが、2段あるのは図所建設という施工店がつくった浴室にみられる特徴です。
お湯がやわらか〜い!
体感40℃ぐらいで、深湯としては少し低めの設定でしょうか。
と思いきや、深湯とつながっている浅湯の吐水口(お湯が出てくる滝みたいな部分)から熱々のお湯が絶えず注ぎ込まれています。
浅いと温度が下がりやすいので、熱々の浅湯というのは貴重で贅沢なのです。
この吐水口の熱いお湯を肩に当てながら浸かることもできて至福でした。
吐水口からの熱いお湯が浅湯を経由することで深湯は少し温度が低くなるという設計なのかもしれません。
そのおかげで深湯では、水圧による心地よさが時間をかけて堪能できるようにしていると感じました。
気泡風呂の絶妙な深さやエステバスの驚異的な深さなども感動的でした。
ここはもしかしたら、図所建設が施工の銭湯の中で至高の構造かもしれない・・・。
水風呂も深湯と同様の構造になっていました。
2段の踏み台腰掛けが中にある…つまりそれは深くて最高ってことです(笑)。
そして露天風呂も深い部分と浅い部分がありました。
図所建設は湯舟の深さの魅力を教えてくれる施工店かもしれません。
そして露天にある打たせ湯よ!
頭頂を穿つような打たせ湯は思わず笑い声が出ちゃうぐらいに強烈で、肩や腰に当てるとコリが吹き飛びましたよ!
ドライサウナは70℃台前半とやや低めながらも、ストーブが隠蔽式(座面や壁にストーブが格納されているタイプ)なので湿度が高めで熱にムラがなく、身体が満遍なく温まって心地よかったです。
源氏ケ丘温泉(東大阪市) 2021年10月15日廃業
外観を見た時点でもうワクワクが止まらなくないですか?
一度見たら忘れられない躯体が円形の銭湯です。
内観も円形で壁がアールを描いていて、男女で半円ずつの構造になっていました。
扇形の浴室と脱衣場は浴槽やロッカーが壁に沿って弧を描いていて、とても珍しくて可愛い。
建てるのも内装も難しいだろうに、なぜ円形にしたのだろう。
ロマンとしか言いようがなく、お湯に浸かる前から可愛い造りに酔いしれました。
主浴槽は電気風呂、浅湯、深湯の順にお湯が流れていく流れ風呂になっています。
お湯が常に流れているのを見ると心が安らいで豊かな気持ちがします。
深湯と水風呂の中の踏み台腰掛は2段。
偶然ながら、こちらも図所建設の施工なのです。
湯舟の出入りのしやすさ、好みの深さで浸かれる心地よさはやはり図所ならでは。
図所建設は寝風呂のフィット感も秀逸です。
背中から臀部に当たる部分の角度が素晴らしいんです。
あまりにもシンデレラフィットなので、自分の身体を採寸してつくってくれたのかと思うほどです。
そんなわけはないのですが(笑)。
人間工学に基づいて設計されているのかな・・・。
ドライサウナは100℃を超えていてストロング!
電気のストーブにストーンが乗っているタイプで湿度が低いので、熱いけれど息苦しさがない素敵なコンディションでした。
昭和歌謡と演歌が建物の雰囲気によく似合っていました。
廃業する銭湯に行く意味
今回の2つの銭湯について自分の体感しか書いていませんが、お湯に浸かりながら一番に想いをはせるのは「ここで多くの人々が疲れを癒したり、救われたりしてきたんだな」ということです。
経営なさっている方もそこに最も意義を感じて続けてこられたと思います。
廃業する理由は経営なさっている方の高齢化による体力的な問題や、設備の老朽化など様々ですが、やめる前にたくさんお客さんの顔が見れるのは嬉しいのではないかと思います。
これは自分も銭湯で働く側になってから思うようになったことですが、決して楽ではない銭湯経営を長年続けてきてよかったと思えるのではないかなと。
私の勤務先の銭湯も一度廃業しています。
廃業の際、私はただの銭湯好きでしたが、こんなに良い銭湯がなくなってしまうなんて勿体ないから何とかできないのか、自分が継業できないだろうかと考えながらお別れ入浴したのを思い出します。
銭湯がどんどんなくなっていくことについてリアルに考えるようにもなりました。
そして現在、ゆとなみ社が継業して復活したその銭湯で働いています。
そんなパターンもありますから、廃業する銭湯に行くのは悪いことではないと思っています。
長年存在するものっていつまでも存在するものだと思い込んでしまいますが、全くそんなことはなくて・・・
いつか行こうとは思っていたけれど、そのいつかが来る前に存在しなくなっていたりします。
廃業してしまったら、継業復活することは本当に難しいし、建物自体が解体されてなくなることも多いです。
なくなってしまったら二度とその銭湯を体験することはできないので、おうちで入浴派の方も、もしお近くに銭湯があるなら行ってみてほしいです。
今回は少し重たい内容になりましたが、暗いことばかり考えているわけではないです。
次回はこの流れを汲んで明るい未来を感じる銭湯について書く予定です(笑)。
löyly girl(ロウリュガール)
「湯快な毎日」がモットー。
銭湯で毎日温浴をするようになってから身体の様々な悩みが寛解し、銭湯を後世に残す重要性に気づく。温浴の素晴らしさを伝えていくために2つの銭湯で働いています。ゆとなみ社(みやの湯・門真市)、朝日温泉(大阪市住吉区)勤務。
https://twitter.com/loylyg