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    Onsen* Times

    2022.03.15

    温浴施設でのマナーについて思うこと

    ブログサムネイル

    こんにちは。
    急に暖かくなりました。
    外気浴や水風呂がより一層気持ちよくなる季節ですね。
    水風呂と言えば…
    入る前に汗を流さない人がいたり、飛び込んで騒ぐ人がいたり、潜る人がいたり…
    SNSを閲覧していると、温浴施設でのマナーについてモヤモヤしたり、イライラしている人が増えているように感じます。
    銭湯で働き始めて、もうすぐ1年が経ちます。
    働き始めてからもお客として様々な銭湯を楽しんでいます。
    銭湯でのことが中心になりますが、マナー問題について感じていることを、店側とお客側の両方の視点で書いてみます。
    ※マナーやルールは施設や地域によって多少の違いがあるということを踏まえて読んで頂けたら幸いです。

    水風呂に入る前に汗を流さない件

    汗を流さずに水風呂に入る人の割合は、女湯と男湯でかなり差がありそうです。
    ほぼ毎日お客として銭湯に行っていますし、1日に何軒も行っていた時でも、女湯ではほとんど見かけたことがありません。
    「汗流してから入って!」とか「汗流してないよね?」と、相客から注意されたことは何度かあります…。
    水風呂のお水を桶で汲み上げて汗を流すのではなく、少し離れた位置にあるボディーシャワーや立ちシャワーで汗を流してから水風呂に入るようにしているので、汗を流さないまま入っていると勘違いされるみたい。

    汲み上げられて減った分は常温の水が水風呂の浴槽に注水され、その後に循環でチラーを通って冷やされます。地下水の掛け流しの水風呂などもあるので、全ての水風呂が同じ仕組ではないし、季節にもよりますが、基本的には汲み上げた分だけ一時的に水風呂の水温は上がります。
    なので汗は冷水のシャワーで流す方が良いです。
    お湯で汗を流してももちろん構わないのですが、冷えた水風呂を維持するという視点から考えると、お湯だと体温が下がらないまま水風呂に入ることになり、水温上昇に繋がります。体温と水温の差に身体が驚いてしまうのも良くないです。


    水風呂から汲み出して汗を流さないのは上記の理由ですが、これはマナーではないですし、ここまでのことをして欲しいとも思ってはいません。
    何が言いたいかと言うと、汗を流してないように見えただけで、きちんと流している場合もあるということです。
    明らかに流していない人もいるのだと思います。
    けれど、なぜ流さないんだろうか。
    汗が混じった水風呂に入るの本人は嫌じゃないのかな?
    機会があれば訊ねてみたいと思っています。

    コロナ禍なのに黙浴しない人がいる件

    多くの施設が頭を悩ませている問題かもしれません。
    ネットの口コミやレビューなどでも目にすることが多いですよね。
    張り紙や口頭注意でお願いをしても、喋る人は喋っています。
    しかしこれは温浴施設に限ったことではなく、例えば電車内や飲食店でも見かける光景ではあります。
    最寄り駅が有名駅ではなかったり、最寄り駅から遠いし、SNSやホームページもやっていない小さな町の銭湯の場合、知っている人しか来店しないのが日常です。
    東京はそんなことないのかもしれませんが、大阪の郊外の銭湯にブームは来ていません。
    毎日毎日その時間帯に決まった人としか入浴していない。それが何十年も続いているので、家族と同じような感覚です。
    しかも、その人たち全員がワクチンの接種も済んでいたりする今は普通にお喋りしているという状況だったりします。
    自宅の中で家族と会話するときにマスクしていますか?
    たぶんほとんどの人がノーマスクで会話していると思いますが、小さな町の銭湯も同じような感じなんだと思います。
    最近はネットで調べて有名じゃない小さな銭湯に行く人も少しずつ増えてきて嬉しいのですが、知ってる人や近所の人しか来ない状況が何十年も続いているところに行って「この店は黙浴を徹底していない」などと苦言を呈しているのを目にすると、なんだかちょっと悲しくなります。間違ったことを言われてるわけではないので、とても複雑な気持ちになります。
    しかし、温浴業界と銭湯業界を盛り上げて、永く続く文化として守っていくためには、新規のお客さんも安心・快適に過ごせるようにしたいとも思っているので、本当に悩ましいです(涙)。

    これは自分の職場で少し前に作って掲示したもの。
    よく見かける「黙浴」の張り紙はどこに行ってもあるから見慣れてしまったし、掲示物って時間の経過とともに景色と化してしまう側面があるかもしれないので、新たに作りました。
    既にきちんとマナーを守っている人は張り紙もきちんと読んでいそうなイメージがあり、逆にマナー違反してる人はそもそも張り紙なんて読んでいないのでは?と感じています。
    ということは、張り紙が増えれば増えるほど、元々きちんとしてくれている人に窮屈な思いをさせてしまうんじゃないだろうかと悩んだりもしています。
    基本的には張り紙をあまりしたくない。
    お風呂ではできる限りリラックスしてほしいという想いが強くあるので、常識レベルの内容の張り紙なんてしたくなくて、お客さんの良識や思いやりを信じていたい気持ちもあります。
    そんな想いから、黙浴ポスターは優しい色合いとフォントを使って、できるだけ窮屈さを感じないようなものにしました。

    これはサウナ室用の黙浴ポスターです。
    こちらは強めにお願いしている感じを黒とホラーみたいなフォントで表現してみました。
    サウナ室は浴室に比べると狭くてディスタンスを保てないため、会話は禁止と強くお願いするべきだと考えました。
    できたらこんな張り紙したくないですが、よく喋る人や声が大きい人って銭湯以外の場所でも同じだと思うので、強めにお願いしなければならないのかな…。
    張り紙しなくてもきちんとしてくださってる方々、本当にごめんなさい。

    場所取りする人がいる件

    ある銭湯に行ったときのことです。
    自分が訪れたときは他にお客さんがいなくて貸切状態だった。
    特になにも考えず、湯舟から近い洗い場で洗髪と洗体を済ませてお湯に浸かっていたら、常連さんと思しきご年配が浴室に入ってきた。
    浴室にはそのご年配と私だけなので、空いてる洗い場はいくつもあるのだけど、ご年配の方はどこに座ろうか戸惑っている様子。
    もしかして、これが常連さんの洗い場は決まっていて場所取りするっていうやつか?
    と思って、私は洗い場に置いたままの道具を別の場所に移動させてみました。
    思った通り、そのご年配は私が荷物を置いていた席に座って体を洗い始めました。
    私は湯舟に戻って浸かりながらその人を見るともなく見ていた(見ないようにする方が難しい小さな浴室だった)。
    そしてすぐに私は申し訳ない気持ちになりました。
    その浴室のシャワーは勢いが弱めで、カランからは激熱のお湯が出るので、その人は湯舟の湯で身体を流したかったみたい。
    ご年配だから足腰が痛いみたいで、湯舟から一番近いその席じゃないと不便だったようなのです。
    この出来事を機に、空いていたり貸切だったりするときでも、洗い終えたら道具は邪魔にならない場所に移動させるようになりました。
    場所取りは基本的にダメなんだけど、何か理由がある場合もあります。
    別の銭湯では「足が悪いから、なるべく出入口に近い席じゃないと転倒して皆に迷惑をかけてしまうから」と言って、いつも決まった席に座りたい人もいました。
    そういうパターンもありますので、初訪問の施設で「ここは場所取りする人がいる」みたいなことを、誰でも見られるネットの口コミなどに簡単に書いてほしくない気持ちがあります。
    特に理由があるわけでは無さそうな常連さんに、「そこに私いつも座ってるねん」と言われたこともあります(笑)。
    私は別にどの席でも構わないから、「そうなんですかー」って笑って他の空いてる席に移動するのみ。
    腹が立つとか全くありません。
    その常連さんの立場に立ってみたら、「他にも空いてる席あるのに、いつもの席に知らない人が座ってる」ということなので、他の席でも構わないなら移動してあげるぐらい構わないと思うからです。
    先ほど黙浴のところでも書きましたが、有名じゃない町のお風呂屋さんに知らない人が来てること自体が少し珍しいし、知っている人しかいない普段にその人がいつもの席を占有していても、他の誰にも迷惑になっていないことがほとんどなんです。
    それだけまだまだ銭湯に来る人口が少ないってことなんです…
    サウナ室での場所取りもよく見かけますよね。
    最近訪問した銭湯では、3人定員のサウナ室で3人入っていて満席だったのですが、水風呂に行く際も座面にバスタオルを敷いたままなので、私は入ることができませんでした。
    サウナだけを目当てに行ってるわけではないので、今日はサウナ無しに切替だ!と方向転換。
    湯舟や露天を満喫したり、足裏の角質をいつもより丁寧に軽石で削ったりしていました。
    そうすると、サウナの3人のうちの1人が「姉ちゃん!私もう出るから!ごめんな!」と、3セット終えたら即譲ってくれたんです。
    私は入りたい素振りはしていないのだけど、バスタオルとサウナハットを持っているのを見て譲ってくれたみたいでした。
    その人は水風呂にワサワサ入ったりもしていたので、「これがヌシってやつか…」などと勝手に思ってしまったことを反省しました。
    サウナ室に入ると、「なかなか気づかなくてごめんやで〜」と他の2人からも謝られました。
    その後、他2人が帰り、私も退店するまで、サウナ利用者の来店はありませんでした。
    平日のその時間帯、その3人しかサウナに入る人がいないので、場所取りしていても誰にも不都合がないのだと思います。
    こちらこそごめんなさい。
    たまたまその日に訪問した私に気づいて譲ってくれてありがとうと思う出来事でした。

    今はマナー問題の過渡期かもしれない

    大阪にいるとそこまで大きな波は感じないけれど、サウナと銭湯のブームによって、若い世代のお客さんが増えているのは確かだと思います。
    近隣住民しか訪れない銭湯にもネットで調べて行くことができたりもします。
    入浴マナーはいくつもあるのですが、銭湯の全盛期だったずいぶん昔のマナーも多いですし、昔には必要がなかった類のマナーもあります。
    例えば「洗濯しないで」などのルールは、今はもう必要ないかもしれません。(洗濯機がない家庭が昔は多かったのかも…)
    髪と身体を洗ってから湯舟やサウナに入るマナーも昔はそんなに気にしてなかったと思います。
    かけ湯はしないといけないけれど、石けんやシャンプーで洗ってからということまでは言われてなかった気がします。(昔は髪を洗う場合は入浴料とは別に洗髪料金が必要だったぐらいですし。大阪では2005年まで残っていました。東京では1967年に廃止。)
    昔と違ってスキンケア商品が多様化しており、きちんと落としてからじゃないと湯舟に保湿成分の油が浮いてしまうなどの理由もあるので、今の時代は身体を洗ってから湯舟やサウナに入ることを一般マナーにした方が良いと思います。
    ウォータープルーフの日焼け止めなんて昔はなかったもんね…。
    熟練のサウナーさんでも、誰も見てないときは水風呂に潜ったり、ロウリュ機能ないストーブに水掛けたり、施設の方に許可をとらずにお風呂場の備品をサウナ室に持ち込んだりしている人を何人か知っています(涙)。そんな人が若年サウナーのマナーに言及して叱りつけたり…。
    そんないろんなことがあり、今はマナーの過渡期ではないかと感じています。
    店側もお客さん側もイライラしないように現代に見合ったルールやマナーを考える時期だと思います。
    いろんな年代の方がいるので、昔からのマナーを知っている年配から見たら常識がないと感じるようなこと、若い世代から見たら年配は常識ないと感じるようなこと、本当にたくさんあって大変なのですが、これからの時代も温浴文化が身近な素晴らしい健康機会としてあり続けられるようにマナーの普及に努めたいと思っています。
    怒ったり、イライラするとせっかくの時間が勿体ないので、他人のことはなるべく気にしないようにしてみてください。勘違いしている場合もあるかもしれません。
    あまりにひどい場合は施設のスタッフさんに伝えてみてください。
    実際にそのマナー違反が行われている最中じゃないと注意するのが難しい場合が多いので、お客さんにモヤモヤさせてしまうかもしれません。
    どのお客さんが店側に伝えたのか知られないようなタイミングで注意しないと、お客さん同士のトラブルが起こったり、雰囲気が悪くなることもあるので、注意するタイミングを計っている場合もあります。
    大人が人前で怒られると傷つく場合もあるので、みなさんが知らないところで口頭注意している場合も多いんです(涙)。
    常識というのは定着するまでに時間がかかります。
    どうか皆さま、ご自身の優しさを見失ってしまわずに、長い目で見て頂けたらと思います。


    löyly girl(ロウリュガール)
    「湯快な毎日」がモットー。
    銭湯で毎日温浴をするようになってから身体の様々な悩みが寛解し、銭湯を後世に残す重要性に気づく。温浴の素晴らしさを伝えていくために2つの銭湯で働いています。ゆとなみ社(みやの湯・門真市)、朝日温泉(大阪市住吉区)勤務。
    https://twitter.com/loylyg

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